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ボール重量や投球メニュー毎の肘にかかる負荷(ワークロード)の違いについて
PULSEthrow
2022/02/15
アメリカの施設で計測したデータを基にそれぞれの負荷の違いについて説明があります。
目次
この記事はDriveLine Baseballの記事を参考に作成しております。
https://www.drivelinebaseball.com/2021/08/how-different-drills-and-ball-weights-affect-an-athletes-workload/
はじめに
試合でパフォーマンスを最大限発揮するために行う毎日のトレーニングの中で重要なポイントになるのは、その人にとって適切な負荷を身体にかける事です。
適切な負荷”というのは、コンディションとスケジュールに合わせて、投げ過ぎ、投げなさすぎの両方にならない丁度よい投球量の事です。
PULSEを使用すると投球時にかかる肘への負荷を数値で確認することができ、負荷の数値の蓄積を基に選手の状態に合わせた“適切な負荷”(適切な投球量)を確認することができます。
データをアプリに蓄積させる事で上記の適切な負荷を確認することができるので、投球トレーニング前にセンサーを腕に装着し、トレーナー終了後にセンサーに溜まったデータをアプリに同期してください。
選手の肘への負荷を把握する重要性
同じ投球練習メニューを行っても選手の身長体重や投球フォーム、球速には個人差があるので、1球毎に肘にかかるストレス値と肘に蓄積される負荷の量にも個人差が生じることがあります。
負荷を把握せずに皆同じメニューのトレーニングを行うと、知らぬ間にケガのリスクが高まってしまっている選手が出てきてしまう可能性があります。
逆に、負荷を把握して選手に合わせた負荷量でトレーニングを行う事で、
効率的に選手の肘コンディションを最適化することが出来るかもしれません。
PULSEを使う事で1球毎にかかるストレス値と肘に蓄積される負荷量を把握することができ、そのデータを基に各選手に合わせた最適な負荷量(投球量)を数値で表示し、毎日のトレーニングを最適に調整してくれます。
しかし、PULSEで表示する負荷量(ワークロード)はあくまでも負荷の量であって、投球数ではありません。
なので、表示された最適な負荷量(ワークロード)に対してどれくらいの投球数が必要なのか?
各投球メニューを何球ずつ行えば最適な負荷量を蓄積することが出来るのか?
このメニューを選手毎に作成していく事が重要になります。
PULSEでは最適な負荷量を「推奨1dayワークロード」として表示します。
推奨1dayワークロードを達成する為の投球メニューをどう作成すれば良いのか?
メニューを簡単に作成できるPULSE DASHの「プログラムビルダー」という機能があります。
詳しく下記リンクをご確認ください。
https://onsideworld.com/contents/motusdash/manualmovie/
メニューを作成する際のポイントは、特定の日に選手がどれくらい投球するのがベストなのか決定することです。
その際にはワークロードの状況と目標日によって臨機応変に対応していきます。
通常、オフシーズン中のトレーニングで、前の週で行った投球量と投球強度を大きく超える投球量と強度を急に行うのは、ケガのリスクを上昇させてしまうので、徐々に量と強度を増やしていく事がお勧めです。
【データ】ボールの重量や投球メニュー毎の負荷量の違い
先ほどのプラグラムビルダーを正確に使用するためには、
ある程度アプリにデータを蓄積させる必要があります。
蓄積期間中に、メニュー毎の負荷の違いを把握しておくことはメニューを作成するうえで有用になるかもしれません。
2020年9月からPULSEを使用している施設で取得した 各投球メニュー毎とボールの重量別の負荷の平均値データを表示します。
選手毎の数値のばらつきも確認することができます。
【データ1.】投球メニュー毎の負荷(ワークロード)の違い
データ元の施設では選手に対して下記のような投球強度が様々なメニューでトレーニングを行いました。
・リカバリー:力感60%以下の投球
・ハイブリッドB:力感60-80%で投球
・ハイブリッドA:力感70-90%で投球
・Plyo Velo(重ボール):プライオケアボールを使用して90-100%で投球
・mound Velo(ブルペン):ブルペンで90-100%
で投球
・プルダウン:90-100%でプルダウンを実施
上記メニュー毎の1日で蓄積された負荷量(1dayワークロード)の平均値を下の画像で表示します。
【メニュー毎の1dayワークロード平均値】

グラフ内にある3本の縦線の部分は、左から25%、50%、75%で、
トレーニングの25、50、75%を実施した時の数値です。

予想通り、低強度の投球日(リカバリーとハイブリッドB)は、
1dayワークロードが低いことが分かります。
90-100%の投球メニュー(プライオ、マウンド、プルダウン)50%部分を見てみると、マウンド「17.8」とプルダウン「18.2」と比較してプライオは「14.0」とワークロードの数値が一番低いことが分かります。
ただ、上図はワークロードの合計値なので、全投球のワークロードの合計です。つまり、1球毎の肘にかかるストレス値は見てないので、何球目にピークストレス値が発生したのかは分かりません。
しかし、リハビリ期の場合はワークロードだけではなくピークストレス値の推移も見る必要があるので下図をご確認してください。
メニュー毎のピークストレス値の平均値を見ることが出来ます。
【メニュー毎のピークストレス平均値】


ワークロードのもう一つの要素は合計投球数なので、これもメニュー毎で分類したデータを見てみましょう。
【メニュー毎の投球数平均値】


投球数のデータを見てみると、
1dayワークロードが多い日は、投球数が多くなる傾向があります。
また、ワークロードには関係ないですがトレーニングメニューを完了するまでにかかった時間を比較したデータもあります。
【メニュー毎に費やした時間】


データ元の施設では、リカバリーには15-20分、その他は25-50分で実施するようにしており、プルダウンの日は平均して他よりも長い時間を費やしていることが分かります。
【データ2.】ボール重量別の負荷(ワークロード)の違い
最近では、プライオケアボール(重たいボール)を使った投球トレーニングしている選手/チームを多く見ますが、ボール重量別に負荷の違いを把握することで、選手毎にどの重さでトレーニングすることがが最適なのか?
決定するためのヒントになるかもしれません。
【ボール重量別の1球毎にかかる負荷の平均値】


このデータを見て例えば、
プライオケアボールDayで今日10ワークロードを達成しなくてはいけない場合
450g(青)のボールだと、1球毎に「0.157WL」かかるので、
約63球が必要になります。
100g(灰色)のボールだと、1球毎に「0.28WL」かかるので、
約35球で達成することが可能なので効率的です。
※選手によってどの重さのボールが効率的なのかは変わります。
まとめ
PULSEを使って選手毎のデータを把握することで、選手毎に最適なワークロードのフィードバックとメニューを作成することが出来ます。
選手毎にどの、投球メニュー/強度/ボール重量でストレス値が高くなってしまうのか把握できるので、そのメニューをルーティンのメニューから外す事や、逆に組み込んだり、いろんな調整が可能になります。
今までは感覚メインで作成していた投球メニューにデータという項目を追加することにより、選手それぞれにフィットした投球メニューを作成できるようになり、選手のパフォーマンスの最大限に発揮できる手助けになるかもしれません。